すぐれた経営が、 大企業を衰退させる要因である。
2017/06/12 Loading

~自社のビジネスを脅かす真の競合は誰かを理解する~


厳密にいえば、すぐれた経営をしている大企業がすべて衰退するわけではありません。 いくつかの大企業が衰退した理由を探ったところ、その原因は不適切な経営ではなく、むしろ愚直に顧客の期待に応えようと 努力していたことこそが、企業衰退の原因だったというのがこの言葉の意味合いです。驚くべき逆説といえるでしょう。

この言葉は、クレイトン・クリステンセン教授が著書「イノベーションのジレンマ」において書き記したものです。 イノベーションのジレンマとは、大企業が新しいイノベーションに抵抗しきれずに市場を奪われる状況で、 オフィスコンピュータの市場がパソコンに奪われた例などが典型的です。

それが起こるメカニズムは以下のようになります。


1.優良顧客に対するフォーカスと破壊的技術の登場
優良企業は、顧客、特に先進的な顧客の意見に耳に傾け、彼らが求める製品やサービスを開発・提供し、そのサービスを改良するために新技術に積極的に投資します。それにより、優良企業は成長します。 一方で、一時としてローエンドの破壊的技術が現れてきます。通常、コストは安いものの、性能に劣る技術です。

2.破壊的技術に対する低評価とその浸食
主流顧客は、性能の高い技術を評価しますから、破壊的技術を当初は無視します。彼らを相手にする優良企業も同様です。破壊的技術は通常、当初は利益率も低く、優良企業にとってその技術を採用する動機はないからです。 しかし、そうした技術を好むローエンド顧客は一定数いるため、徐々に一定の地位を占めるようになります。

3.気がついたら……
技術進歩のペースは、顧客が求める性能向上のペースを上回ることが多いものです。その結果、優良顧客むけの技術はオーバースペックになってしまいます。 一方、破壊的技術は主流市場の中心に躍り出、競争力やシェアを持つようになります。既存の技術進化で成長してきた優良企業が破壊的技術の脅威に気づいた頃には、すでに手遅れになっているのです。


企業が重要な顧客のニーズに応えることは非常に大事なことです。たゆまぬ研究投資も通常は推奨されることです。 しかし、そうした取り組みに没頭するあまり、潜在的な脅威を見落としてしまう罠を避けることが、クリステンセンの言葉の真意です。

厳密にいえば、すぐれた経営をしている大企業がすべて衰退するわけではありません。 いくつかの大企業が衰退した理由を探ったところ、その原因は不適切な経営ではなく、むしろ遇直に顧客の期待に応えようと 努力していたことこそが、企業衰退の原因だったというのがこの言葉の意味合いです。驚くべき逆説といえるでしょう。

この言葉は、クレイトン・クリステンセン教授が著書「イノベーションのジレンマ」において書き記したものです。 イノベーションのジレンマとは、大企業が新しいイノベーションに抵抗しきれずに市場を奪われる状況で、 オフィスコンピュータの市場がパソコンに奪われた例などが典型的です。


ワンモア・アドバイス
しばしば「産業消滅」とでもいうべき事態が起こります。そうした事例を観察してみると、顧客の根源的なニーズが消えたというケースはまれ で、多くの場合は、本項で紹介した破壊的イノベーションを含む、予期せぬ代替品に 市場を破壊されたということがほとんどです。
たとえば、人々の音楽を聞きたいというニーズそのものは消えることはないでしょ う。しかし、そのメディアがレコードである必要はありません。事実、技術進化にと もなってレコードはほぼ消え、CD、ファイルダウンロード、そしてストリーミング と形態を変えてきました。
そしてそれと連動して、レコードプレーヤーやレコード針などの市場も、一部のマ ニア向けを除けば、ほぼ消滅してしまったのです。
一般に企業は、目の前のライバルはもちろん、新規参入してくる同業者には注意を 払うものです。しかしそれ以上に怖いのは、代替品、つまり、顧客の同じニーズを満たす、形態の違う製品・サービスであることは意識しておくべきでしょう。