人間はインセンティブの奴隷
2017/06/12 Loading

~人間はインセンティブに想像以上に過剰反応して行動する~


トップや上司が崇高なビジョンを掲げ、 「一緒に頑張ろう」といえば人々はモチベーション高く頑張るでしょうか。

実際にはそんなに単純ではありません。 人々を動かす別の大きな要素であるインセンティブの影響や威力を正しく理解する必要があります。 歴史を振り返ると、意図を持ってインセンティブを与えたところ、人々が本来の意図とは逆の行動をとったという例は枚挙にいとまがありません。

かつてコブラに悩まされたインドでは、コブラを捕えると賞金を与えるというインセンティブを導入しました。 結果としてコブラは減ったのでしょうか。実は逆のことが起こりました。

賞金を稼ぐためにコブラを飼育し、繁殖させるような人々が現れたのです。困惑した当局はコブラに賞金を出すことを止めました。 その結果、賞金稼ぎたちは、繁殖させたコブラを野に放ってしまい、かえって増えてしまったのです。

こうしたことは企業組織の中でもしばしば起こります。 組織の中には「一見合理的だけど、必ずしもトータルとしていい結果をもたらさないインセンティブ」が溢れているものです。

卑近な例は残業代でしょう。残業代は、本来、仕事量が多く、労働時間が長くなりがちな人々に報いる制度だったといえます。 しかし、多くの企業で残業代という制度は、人々が効率よく定時までに仕事を仕上げる動機を奪ってしまっており、 日本企業の生産性の低さの原因ともなっています。

別の例として、ある特定の商品・サービス(通常は新しいプロダクト)の販売にインセンティブを過大につけた結果、 顧客のことをあまり考えずにその商品・サービスばかりを売ろうとしたなどのケースもあります。

人を動かす上でインセンティブは非常に重要な武器であり、それを使いこなすのは必須です。

ただし、バランスを欠いたインセンティブ、一部の「不心得者」の動機を理解しないインセンティブは、 悪影響の方が大きくなってしまいます。「行為の意図せざる結果」には細心の注意が必要です。